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人民陪审员制度改革的理念和实践:解决问题的原因

【摘要】:つまり、上記の第三の問題点、人民参審員が実質的に裁判に参加をしないために、司法権威と司法公正を確保する機能が果たされないという自体を生じさせている直接の原因になっていると考えられる。この第三の問題点を生じさせる原因、つまり、人民参審員の選任、考査手続と裁判官への責任追及制度は、それをもたらしている間接的な原因だといえ

(1)第一の問題点が生じる原因について

上述のとおり、社会的影響が比較的に大きいとは必ずしも言えない事件の多くが社会的影響の比較的大きな事件だと見做され、人民参審員制度の適用を受けているという問題点がある。以下では法律の条文と人民法院システム内部規則の二つの側面からその原因の検討を行っていく。

法律により、法定の制度適用対象事件となるのは社会的影響の比較的大きな事件と当事者による申請がある事件に限られているが、ある事件に社会的影響があるか否か、もしあったとして、比較的大きな影響にあたるのか否かを判断する基準は定められていない。そのため、実務ではある事件が法定の制度適用対象事件となる、社会的影響が比較的大きな事件であるか否かは、裁判官の自由裁量となってしまっている。更に、裁判官へのインタビューによって2010年から人民法院システムに参審率が裁判官ひいては、人民法院の業務を評価する指標の一つとして定められたことが明らかとなった。裁判官は、評価を良くするため、担当した事件に社会的影響があるか否かにかかわらず、できるかぎり多くの事件に制度を適用しようとする傾向にある。法律に定められている社会的影響が比較的大きな事件という曖昧な表現、並びに、参審率が裁判業務を評価する指標の一つとなっていることが、上述の制度運用上における第一の問題点の原因だと考えられる。

(2)第二の問題点が生じる原因について

エリート階級が人民参審員の主体を構成しているという現実について、その原因を人民参審員の選任資格から探っていくこととする。第3章第2節で論じたとおり、「決定」には政治要件と道徳要件、年齢要件、学歴要件、身体要件という五つの面から人民参審員の選任資格が定められており、その内、学歴要件は、人民参審員のエリート化という問題点をもたらした原因の一つとなっていると考えられている。なぜならば、原則として短大卒以上(短大卒を含み)の者が選任されるのであり、例外として、原則の要件を貫徹することが明らかに困難な地方、または、年長者であり且つ人望を有する者である場合に学歴要件が短大卒以下まで緩和される。そのため、人民参審員になる者は、短大卒以上(短大卒を含む)の者でなければ、年長者であり且つ人望を有する者、あるいは、短大卒以上(短大卒を含む)の者が極めて少ない地方で選任される者である。上記の現地調査で示したとおり、実務において、例外要件に該当する人民参審員が選任されることは稀である。更に、短大卒以上(短大卒を含む)の者は、総人口に占める割合が非常に低いため、原則規定であれ、例外規定であれ、法定の学歴要件を満たす者はそもそも極少数である。

更に、高学歴の者は就職する際、往々にして政府機関と国有企業、非営利事業体のような国家権力と結び付きやすい職場に勤めようとする傾向があるため、短大卒以上の学歴を有する人民参審員のうち、公務員並びに国有企業または非営利事業体の役員である者が多くなっている。また、公務員と国有企業または非営利事業体の役員は、これも往々にして共産党員あるいは衛星政党の民主党派の党員になる傾向にある。そのため、高学歴という学歴要件を満たす者は、自然に国家権力と接近し、そしてまた必然的に、執政党たる共産党にも近づく結果となる。結局、法定の学歴要件を設けていることが人民参審員のエリート化を進めていると考えられる。

(3)第三の問題点が生じる原因について

法定の人民参審員の選任·考査手続および人民参審員の五年という任期の設置が人民参審員の司法官僚化を進行させていると考えられる。人民参審員を選任するのに、人民法院による審査、院長による指名、人民代表大会常務委員会による任命という手続が不可欠であるため、人民参審員は、選挙権者の内から選挙で選ばれる者というよりも、むしろ、上司による任命を受けた官僚のようになっている。しかも、人民参審員に五年の任期が設置され、毎年裁判官による人民参審員に対する考査が行われていることも、裁判官が上司であり、人民参審員がその部下であるという構図に拍車をかけている。

この手続が、裁判の際、官僚的な階級の下位に位置する人民参審員が上位に位置する裁判官の意見に従い、ひいては、裁判に参加する人民参審員自身の主体性を失わせつつあるように見える。

なお、人民法院システムの内部規則として定められた誤審を行った裁判官のみに責任を負わせる制度の存在は、人民参審員が裁判官と同じく合議体の構成員で、合議体の長である裁判長に成れないことを除いて、同等の権限を有するにもかかわらず、人民参審員に裁判官とは異なった裁判への責任感を持たせる契機となっている。つまり、人民法院に属するプロの法律家としての裁判官は、冤罪又は誤審を行ったことによる責任追及を恐れ、自らの昇進を考慮に入れている。対して、人民法院に属しておらず法律の素人である人民参審員は、人民法院システム内部の昇進といった事項を考慮する必要性がなく、また、裁判官のように責任を追及されるおそれもない。そのため、実務における人民参審員は、裁判官のように事前に訴訟資料を読み、裁判中と合議の際に積極的な質疑、意見の提出をする、といったことをしないという態度を基本的に取っている。

(4)第四の問題点が生じる原因について

前提として、事件を正しく裁判し、事実認定を行った上で、法律に則した判決を下すことができれば、その結果として公正な裁判が確保され、司法権威を維持する機能は自然と果たされることになる。しかしながら、現地調査から明らかとなったように、実務において人民参審員はこの前提に関して何らの役割を果たしていない者たちである。つまり、上記の第三の問題点、人民参審員が実質的に裁判に参加をしないために、司法権威と司法公正を確保する機能が果たされないという自体を生じさせている直接の原因になっていると考えられる。この第三の問題点を生じさせる原因、つまり、人民参審員の選任、考査手続と裁判官への責任追及制度は、それをもたらしている間接的な原因だといえよう。

2002年から実施されている司法試験のため、裁判官資格の取得が以前よりも困難になり、裁判官の数が増えにくくなる一方で、近年、人民法院に訴えられる事件数は急増しているという現実がある。この状況が、合議体を形成するために人民参審員を裁判に参加させるという結果をもたらしたということは、すでに学者が指摘しているとおりである。[68]

法律知識を普及することが現実における制度機能であると、アンケート調査に回答した人民参審員に見做されているという点に関しては、裁判官によって行われている人民参審員に対する法定研修が、当該人民参審員に法律知識を普及することが制度の機能だということを印象付けたと考えられる。

上海市ZB区基層人民法院で現地調査を行っていたところ、当該人民法院の民事法廷の董裁判官から「2010年から実施されている人民法院システムの内部規則で定められた[案後答疑制度]、つまり、判決を下した後、合議体の構成員である裁判官または人民参審員が判決について質疑を提出した当事者に対して説明を行う制度を利用している」との説明が得られた。実際において、プロの法律家である裁判官ではなく、人民参審員が当事者に対して、判決を説明し、納得をさせるのである。このため、当事者に判決を納得させることが、現実における制度の機能として見做されていると考えられる。

【注释】

[1]中華人民共和国国務院報道弁公室『中国の司法改革』(外文出版社,2012年)14頁参照。

[2]前掲注(160)(最終アクセス日,2013年12月22日)参照。

[3]つまり、通常手続一審事件に参審事件が占めた比率である。

[4]前掲注(2)参照。

[5]筆者は、2012年の2月および8月、9月の三ヶ月で中国の湖北省、重慶市、内モンゴル自治区、上海市、広東省に行って、当地の友人から紹介文を得たうえで、その地方にある高級人民法院および一部の中級人民法院と基層人民法院で現地調査を行った。地域により、各人民法院により、また口をきいてもらった友人と裁判官により、調査で入手した参考資料の量とその内容の詳細さはそれぞれ異なっていることは、ここで予め説明しておく。

[6]湖北省で現地調査を行うことができるのは、筆者のNG中級人民法院に務める裁判官である従兄から支持を受け、各人民法院の裁判官を紹介してもらったからである。

[7]人民参審員制度の実施状況に関する統計業務は、国家レベルの部門により一律に行われているわけではなく、各人民法院に所属する研究部門により操られているために、まとめたデータの多少と詳細さは、やや異なっている。例えば、XJ市基層人民法院の統計データは2006年から2011年までの情況であるのに対して、隣の都市のQX市基層人民法院とMH市基層人民法院から収集したデータは、2005年から2009年までのものと2005年から2010年までのものである。

[8]現地調査でXJ市基層人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[9]現地調査でQX市基層人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[10]現地調査でMH市基層人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[11]現地調査でNG中級人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[12]現地調査でXJ市基層人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[13]現地調査でXJ市基層人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[14]内モンゴルで現地調査を行うことができたのは、北海道大学法学研究科を卒業し、内モンゴル大学法学部に務める筆者の先輩である孟根巴根氏から当該地域における人民法院の裁判官を紹介してもらったからである。

[15]現地調査でTZ旗基層人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[16]重慶市で現地調査を行うことができたのは、西南政法大学の教授で、筆者の修士課程の指導教官である徐静村氏から支持を受け、当該地域における人民法院の裁判官を紹介してもらったからである。

[17]この度入手した統計参考資料は、涪陵区基層人民法院の2009年から2011年までの三年間のものおよび重慶市第三中級人民法院の2010年から2012年6月までのものしかないということをご了承いただきたい。

[18]現地調査でLF区基層人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[19]現地調査で重慶市第三中級人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[20]現地調査で重慶市第三中級人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[21]現地調査で重慶市第三中級人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[22]現地調査で重慶市第三中級人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[23]広東省で現地調査を行うことができたのは、西南政法大学の教授で、筆者の修士課程の指導教官である徐静村氏から支持を受け、広東省高級人民法院に務める王氏を紹介してもらったのであり、王氏を介して広東省高級人民法院が管轄する広州市中級人民法院の政治部の主任でもあり修士課程の先輩でもある李氏、および、HZ区基層人民法院院長である鐘氏と知り合い、諸氏から助けを受けたからである。

[24]筆者は広東省と上海市に行っていた時、広東省高級人民法院および上海市高級人民法院、閘北区人民法院を管轄する上海市第二中級人民法院を訪れ、人民参審員制度の実施状況を調べようと求めたにもかかわらず、それらの人民法院からは拒まれた。したがって、今回、広東省と上海市で現地調査を行った人民法院は、広州市中級人民法院、広州市海珠区基層人民法院、上海市閘北区基層人民法院のみである。

[25]海珠区基層人民法院に刑事法廷、少年法廷、民事第一法廷、民事第二法廷、民事第三法廷、民事第四法廷、行政法廷を含む七つの業務法廷があるにもかかわらず、この度の調査で入手したデータは民事第一法廷と民事第二法廷、行政法廷、刑事法廷における毎年の人民参審員が参加した事件数と参審率だけである。

[26]交通、医療、婚姻家庭、労働紛争、不法行為に関わる民事事件を取扱う業務法廷である。

[27]現地調査でHZ区基層人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[28]契約や保険、会社などの商事事件に関わる民事事件を取扱う業務法廷である。

[29]現地調査でHZ区基層人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[30]現地調査でHZ区基層人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[31]現地調査でHZ区基層人民法院から入手した人民参審員制度の実施状況の統計データによる。

[32]上海市ZB区基層人民法院で現地調査を行えるのは、北海道大学法学研究科の先輩である葛敏氏から当該人民法院の研究室の劉敏裁判官と知り合わせてもらったからである。

[33]2012年2月と8月、9月には、湖北省、重慶市、内モンゴル自治区、広東省、上海市におけるヒアリング調査の結果である。湖北省、重慶市、内モンゴル自治区、上海市に所在する各基層人民法院の情報は人民参審員名簿に、広東省の海珠区基層人民法院の情報は内部報告書に基づく。それらの人民参審員名簿は参考資料4から参考資料9である。その内部報告書は参考資料10である。

[34]参考資料4による。

[35]参考資料4による。

[36]参考資料4による。

[37]参考資料4による。

[38]参考資料5による。

[39]参考資料5による。

[40]参考資料5による。

[41]参考資料5による。

[42]参考資料6による。

[43]参考資料6による。

[44]参考資料6による。

[45]参考資料6による。

[46]参考資料7による。

[47]フフホト市の管轄下に置かれる漢民族とモンゴル族などの少数民族との民族混住の県レベルの行政地域である。

[48]参考資料7による。

[49]参考資料7による。

[50]参考資料7による。

[51]参考資料8による。

[52]参考資料8による。

[53]参考資料8による。

[54]参考資料8による。

[55]参考資料9による。

[56]参考資料9による。

[57]参考資料9による。

[58]参考資料9による。

[59]参考資料10による。

[60]参考資料10による。

[61]参考資料10による。

[62]参考資料10による。

[63]四川省成都市中級人民法院課題組「呈現的実然与回帰的路径——成都地区人民陪審制度運行情況実証調査分析」人民司法,2006年第7期30頁、王慶新·劉達文·婁必県「従身分出発:人民陪審員制度民主価値的表達与実践——以重慶某中級人民法院轄区陪審員為様本」法官論壇,2011年第24期42~44頁、北京市高級人民法院政治部教育培訓処課題組「関於北京法院人民陪審工作情況的調研報告」法律適用,2012年第2期95頁参照。

[64]今度のインタビュー調査は七つの人民法院に勤めている34名の裁判官から面会の許可を頂いた上で行われた。ここで、その34名の裁判官へ心かち感謝の意を申し上げる。

[65]運用実態に関する人民参審員の答え アンケート調査を受けた人民参審員の答えをまとめた上で作ったものである。

[66]2010年第六次中国人口に関する全面的調査の官報による。中華人民共和国国家統計局のホームページ(http://www.stats.gov.cn/tjsj/tjgb/rkpcgb/qgrkpcgb/201104/t20110428_30327.html)参照。

[67]「中国共産党党員総数達8512.7万名」人民網http://politics.people.com.cn/n/2013/0701/c70731-22026648.html、「公務員局:2012年底 全国公務員総数為708.9万人」中国新聞網http://www.chinanews.com/edu/2013/06-27/4977003.shtml(最終アクセス日,2014年4月16日)参照。

[68]劉晴輝·前掲注(19)155~156頁。