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人民陪审员制度改革的理念和实践:问题点分析

【摘要】:このことから、人民参審員制度を利用する裁判の大部分が基層人民法院で行われていること、人民法院のレベルが高いほど、制度利用の可能性が低くなること、と言う二つの結論を導くことができる。よって、第一の問題点として挙げられるのは、基層人民法院では社会的影響が大きいとは必ずしも言えない事件の裁判にも人民参審員制度を利用していることである。

(1)人民参審員が加わった事件数からみる問題点

全国的に見ると、人民参審員が参加した事件数も参審率も上昇傾向にあり、とりわけ、参審率は2011年には50%近くに達した。2012年には60%を超え、2013年には70%以上にもなった。更に、内モンゴル自治区のTZ旗基層人民法院における参審率は2012年前半期に100%となり、上海市ZB区基層人民法院においても参審率は2009年以降、常に100%近い割合を示している。湖北省と重慶市、広東省における基層人民法院の2012年の参審率の詳細なデータは入手できなかったが、上述の現地調査で得た各地方における基層人民法院の参審率が近年上昇していることから、これらの法院もTZ旗基層人民法院とZB区基層人民法院と同様に高い水準になっているものと推測することができる。よって、東部、西部、中部、南部、北部を問わず、2012年以降の基層人民法院における参審率は100%近い水準になっていると考えられる。

これに対して、中級人民法院は参審率が非常に低い水準に止まっているのが現実である。例えば、内モンゴル自治区のフフホト市中級人民法院は、これまでの20年間で人民参審員制度を利用した裁判が存在しないこと、および、広州市中級人民法院において、刑事事件と行政事件の裁判に殆ど人民参審員が参加していないことを例として挙げることができる。言うまでもなく、高級人民法院と最高人民法院の参審率はゼロである。

このことから、人民参審員制度を利用する裁判の大部分が基層人民法院で行われていること、人民法院のレベルが高いほど、制度利用の可能性が低くなること、と言う二つの結論を導くことができる。

なお、対象事件は、社会的影響が比較的に大きな刑事、民事、行政事件と、刑事被告人、民事事件の原告·被告、行政事件の原告により適用が申請された事件という二種類に限定して定めている。これに、裁判官へのインタビューによって明らかとなった、当事者の申請により制度利用の決定がなされたという事実が殆ど存在しない点を考慮に入れると、人民参審員制度を利用したほぼ全ての裁判で、社会的影響が比較的に大きな事件であると当該人民法院により判断されていると推測できる。しかし、実務において、ここ数年で上述の基層人民法院で裁判した事件の大部分は必ずしも社会的影響が大きな事件に属しているとはいえない。更に、事件の社会的影響が大きければ大きいほど、事件を裁判する人民法院のレベルが高くなることを考えれば、基層人民法院ではなく、中級人民法院、ひいては、高級人民法院、最高人民法院が主として人民参審員制度を利用する人民法院であるべきだと考えられる。

よって、第一の問題点として挙げられるのは、基層人民法院では社会的影響が大きいとは必ずしも言えない事件の裁判にも人民参審員制度を利用していることである。つまり、実務において、人民法院はある事件の裁判に制度を適用するか否かの判断を行う際に、制度の対象事件を明文で定めている法律を無視し、恣意的な判断を下していることになる。

(2)人民参審員の構成からみる問題点

制度を定める法律に基づき、原則として、人民参審員になる者は短大卒以上である必要があり、例外として、短大卒以下の学歴を有する者でも選任することが可能となっている。このため、制度運用の実体においても、全国における人民参審員は84.00%の者が短大卒以上、各地方の状況を見れば、湖北省XJ市、MH市および内モンゴル自治区TZ旗の人民参審員には短大卒以下の者がなく、湖北省QX市の人民参審員では僅か3名、全体の5.56%の割合を占め、重慶市LF区において短大卒以下の者は少数派の10名で全体の20%、上海市ZB区の短大卒以下の人民参審員は1名で全体の1.47%を占め、広州市HZ区の短大卒以下の人民参審員は5名で全体の10.42%を占めている。つまり、全国においても、今回の現地調査を行った地方においても、短大卒以下の人民参審員は、実数でも全体に占める割合でも非常に低い水準となっている。更に、湖北省XJ市とMH市、上海市ZB区においては、学士とそれ以上の学歴を有する者は当該人民法院に所属する人民参審員全体の70%以上を占め、圧倒的な多数派となっている。

これに対して、2010年の全国第6次人口に関する全面的な調査資料[66]から見れば、13億7053万6875人の総人口の内、短大卒者と大学卒以上の者は合計で1億1963万6790人と、総人口に占める割合は約8.73%でしかない。つまり、短大卒以下の者が、総人口で約91.27%を占めているのが現状である。この点より、総人口の割合において約8.37%しかいない短大卒あるいは大学卒以上の者から8割以上の人民参審員が選任されているのに対して、総人口の大部分、約91.27%を占める短大卒以下の者からは僅かに16%の人民参審員しか選ばれていないということがわかる。更に、現地調査を行った各地方ではこの状況はより厳しいものとなっているのである。すなわち、学歴構成から見た実務において、殆どの人民参審員が総人口に占める割合が極少数の高学歴を有する者から選任されているという状況が見て取れる。

次に、上述の人民参審員の政治的背景に関する現地調査からわかるように、現地調査を行った基層人民法院における全ての人民参審員の80%近くの割合を占める者が中国共産党党員あるいは中国共産主義青年団員や民主党派に所属する党員である。つまり、人民参審員の内、中国共産党関係者の占める割合は非常に高い。また、人民参審員の職業構成から見ても、全ての人民参審員の7割近くが公務員および政府からの管轄または指導を受ける国有企業や非営利事業体に勤める役員であることがわかる。

2012年度の全国における中国共産党党員および公務員の総数はそれぞれ8512.7万と708.9万となっている[67]。両者が総人口に占める割合は僅かに6.21%と0.51%である。以上の政治的背景と職業構成から見て、人民参審員の70%以上が総人口の10%未満の割合を占める者で構成されていると結論づけられる。上記をまとめると、典型的な人民参審員とは学歴が短大卒以上であり、政府機関に務めている公務員であり、且つ中国共産党党員である者ということになろう。このような条件に合致する者は僅かではあるが確かに存在する。そして、彼らに関しては所謂「エリート」と言うほかない。このエリートの者が人民参審員の主体であることが、第二の問題点となっている。これは、人民参審員が大衆を代表し、真の民意を裁判に反映するという機能を果たせなくなっている、言い換えれば、現在の人民参審員の代表性が脅かされつつあるということになる。

(3)人民参審員が裁判に参加する実態の面からみる第三の問題点

法律により人民参審員は、合議体の長である裁判長になることができない点を除いて、裁判官と同様の権限が与えられている。そのため、裁判にあたっては、合議体の構成員である人民参審員は裁判官と同じく事実認定と法適用に実質的な影響力を持つことを立法者は期待していたと考えられる。

しかし、実務において人民参審員は期待された機能を果たすことができていない。つまり、上記の裁判官へのインタビュー調査結果と人民参審員へのアンケート調査結果から、人民参審員は基本的に、裁判の訴訟資料を事前に読み、裁判中または合議の際に発言し、評決の際に裁判官と異なる意見を提出してはいないという実態が見られる。言い換えれば、人民参審員は実質的に裁判官のように裁判に参加をしていないのである。この点から、従来から存在していた[陪而不審]という問題は今回の制度改革によって解決されないままに、第三の問題点として未だ残り続けている。

(4)現実の制度機能の面から第四の問題点

上述の裁判官へのインタビュー調査結果、並びに、人民参審員へのアンケート調査結果から、裁判官と人民参審員によって、司法民主の発揚と司法監督の強化、法律知識の普及、裁判官数の不足を補填すること、当事者に判決を納得させること、という五つの機能が実際に果たされている制度機能であることがわかった。

しかしながら、第3章第2節で明らかにした制度改革以降、制度に期待される四つの機能のうち、司法権威を維持する機能と司法公正を確保する機能に関しては、調査を行った裁判官と人民参審員からほとんど言及をされなかった。実務において両機能が完全に果たされていないと断言はできないが、少なくとも上記の五つの機能と比較して、裁判官と人民参審員から認められていないことが窺える。制度改革を行った当初の立法者の意思は、現実に実施されている制度において貫徹されていないことになる。そこで、第四の問題点となるのは、立法者が期待した機能、つまり、司法権威を維持することと司法公正を確保するという機能が完全に実現されていないばかりか、当初想定をされていなかった、すなわち、法律知識の普及、裁判官数の不足を補填すること、当事者に判決を納得させること、といった機能が現実の機能と見做され、また、その機能を果たしているということである。