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全国地区参审人数及参审率—人民陪审员制度改革实现成果

【摘要】:表4.4および表4.5、表4.6は、それぞれ過去数年間で上記三つの基層人民法院において人民参審員が加わった事件数と参審率を示している。人民参審員が加わった事件の数も、2005年から2012年まで右肩上がりであったことが明らかになっている。

(1)湖北省における人民参審員が加わった事件数と参審率[6]

中国中部の湖北省における人民参審員制度の情況について検討を行う。筆者は2012年2月2日から3月2日にかけて湖北省にあるXJ市基層人民法院、MH市基層人民法院、QX市基層人民法院およびNG中級人民法院、湖北省高級人民法院を訪問し、人民参審員が参加した事件の数と参審率に関する統計データを入手した[7]。表4.4および表4.5、表4.6は、それぞれ過去数年間で上記三つの基層人民法院において人民参審員が加わった事件数と参審率を示している。以上三つの基層人民法院を管轄する上級人民法院のNG中級人民法院での制度の実施状況は表4.7に示すとおりである。

表4.4 XJ市基層人民法院の実施状況[8] 

表4.5 QX市基層人民法院の実施状況[9]

表4.6 MH市基層人民法院の実施状況[10] 

表4.7 NG中級人民法院の実施状況[11] 

最初に、参審率に関して触れておくこととする。「決定」が実施され始めた2005年においては、QX市基層人民法院の比率は8.94%、MH市基層人民法院の比率が12.19%と、どちらも10%前後に止まっているが、2006年には、この二つの基層人民法院における制度の利用比率は共に上昇し、特に、MH市基層人民法院の参審率は、いち早く20%を超えることとなった。しかし、その内XJ市基層人民法院の参審率は、未だ10%未満の9.38%と出遅れている。その後、三つの基層人民法院の参審率は年々上昇し、2009年には共に30%前後にまでなった。とりわけ、MH市基層人民法院の参審率は最高の44.59%を記録した。毎年の参審率の平均は、MH市基層人民法院が最高の29.50%、XJ市基層人民法院が24.11%、QX市基層人民法院が最低の19.50であり、総じていえば、20%前後から30%未満までである。

これに対して、記録にある2006年のNG中級人民法院の参審率は、最初こそ33%以上に達したが、2007年から、2009年にかけて徐々に低下した。しかし、2010年からは再び30%を上回り、最終的に2011年には59.14%に達した。毎年の参審率の平均は、32.43%である。この中級人民法院の参審率は、上述の基層人民法院と比較して相当高いと言える。加えて、湖北省の高級人民法院では「決定」が交付されて以降、人民参審員が参加する合議体で裁判を行った事件が一件も存在しないことが判明した。

人民参審員の加わる事件数に関しては、基層人民法院では、参審率の変化と同様に年々上昇している、その内、事件数が最も少ないのが、2006年のXJ市基層人民法院で人民参審員制度を利用して行われた裁判135件であった。これに対して、最も利用数が多かったのが2009年のQX市基層人民法院における528件である。しかしその一方で、NG中級人民法院で行った人民参審員の参加した事件数は、最小が2008年の15件、最多が2011年の55件までとなっている。

なお、事件別の参審率について、統計を行ったのはXJ市基層人民法院だけであり、更に、その統計データは2010年と2011年の分しか存在していない。その為、次の図4.1と図4.2は、2010年と2011年における事件別の参審率を示している。2010年と2011年では、人民参審員の加わった事件の内、通常手続第1審事件に占める比率は刑事事件が圧倒的に多く98.70%と100%近くなっている一方で、行政事件の参審率は極めて少なく11.10%と0%となっている。民事事件の参審率はその内間に位置しており、49.90%と69.40%である。

図4.1 XJ市基層人民法院における2010年事件別の参審状況[12]

図4.2 XJ市基層人民法院における2011年事件別の参審状況[13]

上記の数値を踏まえて考察すれば、XJ市基層人民法院では、殆どの刑事事件と一部の民事事件の裁判が人民参審員と裁判官から成る合議体により行われていたのに対して、行政事件はごく稀にしか人民参審員制度を利用した裁判が行われていなかったということができる。筆者が現地調査を行った際には、これが湖北省にある基層人民法院の一般的な状況だと説明を受けた。

(2)内モンゴルにおける人民参審員が加わった事件数と参審率[14] 

筆者が2012年8月に中国北部の内モンゴル自治区、並びに西部の重慶市における人民法院で行った人民参審員制度に関する調査から制度の実施状況を見て行く。まずは、内モンゴル自治区の高級人民法院、フフホト市中級人民法院の実施状況について、当該両人民法院の裁判官から聴取したところ、調査時の2012年8月から遡って過去20年の間内モンゴル高級人民法院でもフフホト市中級人民法院でも人民参審員と裁判官から成る合議体で事件を裁判したことがないのに対して、フフホト市が管轄するTZ旗基層人民法院では人民参審員制度が盛んに運用されているとの説明を受けた。TZ旗基層人民法院における人民参審員制度の実施状況は、表4.8で示すとおりである。「決定」を実施した2005年における参審率は27.36%であったが、徐々に増加し、2011年の参審率は59.98%となり、2012年の前半において参審率は急激に上昇し100%に達した。人民参審員が加わった事件の数も、2005年から2012年まで右肩上がりであったことが明らかになっている。更に、2012年以後、TZ旗基層人民法院で行われた全ての事件の裁判を人民参審員制度で行うことを内部規則としてすでに定めたと当該人民法院政治部の叢裁判官は語った。ここから見えるように、内モンゴル自治区では人民参審員制度は、主として基層人民法院で実施されているのに対して、中級人民法院と高級人民法院では殆ど実施されていないと考えられる。

表4.8 TZ旗基層人民法院の実施状況[15] 

(3)重慶市における人民参審員が加わった事件数と参審率[16] 

筆者はまた、中国西部に所在する直轄市の重慶市に赴き、西部の人民法院システムにおける人民参審員制度の実状を調査した。表4.9と表4.10は、重慶市のLF区基層人民法院および当該人民法院を管轄する重慶市第三中級人民法院の人民参審員制度の運用状況に関するデータである[17]

LF区基層人民法院の状況については、2009年から2011年にかけて参審率と人民参審員の参加した事件の数は上昇してきた。この参審率が同年度の全国平均参審率の2倍近くになる点に注目すべきである。

表4.9 LF区基層人民法院の実施状況[18]

また、表4.10で示すとおり、重慶市第三中級人民法院における参審率は、2010年の22.63%から、2011年の55.47%を経て、2012年6月には66.25%まで増加した。人民参審員が参加した事件の数については、2010年では31件の事件の裁判が人民参審員制度を利用して行われたのに対して、2011年には137件に急増した。2012年前半期の人民参審員が参加した事件の数がすでに53件になったことおよびその上昇傾向を踏まえた上で、その後、約半年間のデータを入手することはできなかったが、1年間の人民参審員が参与した裁判事件の数は優に100件を超えていたと推測できる。

表4.10 重慶市第三中級人民法院の実施状況[19]

図4.3 重慶市第三中級人民法院の2010年事件別の参審状況[20]

図4.4 重慶市第三中級人民法院の2011年事件別の参審状況[21]

図4.5 重慶市第三中級人民法院の2012年1月から6月までの事件別の参審状況[22]

更に、重慶市第三中級人民法院における2010年度、2011年度、2012年度前半期の事件別の参審率は、それぞれ表4.3と表4.4、表4.5に示されている。2010年度および2011年度において参審率が一番高いのは行政事件であり、その次に民事事件、刑事事件と続く。刑事事件は最も低い参審率となっていた。一方で、2012年の前半期における刑事事件の参審率は74.30%と最も高くなっており、民事事件の参審率が65.70、40.00%の行政事件の参審率が最も低い数値となっていた。

(4)広州市における人民参審員が加わった事件数と参審率[23]

筆者は更に2012年9月、広東省にある広州市中級人民法院、その下級人民法院である広州市HZ区基層人民法院、上海市ZB区基層人民法院で一ヶ月間の現地調査を行った[24]。広州市HZ区基層人民法院における実施状況は表4.11および表4.12、表4.13、表4.14から見られる[25]

民事事件の裁判に関して、民事第一法廷は2010年度、2011年度、2012年度前半の比率が全て50%未満であったのに対して、民事第二法廷は「決定」を実施した2005年から2012年6月にかけてその比率は大きな変動を見せず100%になりつつあった。事件数については、民事第一法廷は最初の2年度と2012年の前半期において人民参審員制度を利用して裁判を行った事件が100件未満であった一方、民事第二法廷は2005年から毎年、人民参審員制度を利用した事件は400件を超えている。

表4.11 HZ区基層人民法院の民事第一法廷[26]の実施状況[27]

表4.12 HZ区基層人民法院の民事第二法廷[28]の実施状況[29]

また、行政法廷は、参審率が2005年の段階で44.59%となっていたが、2年後の2007年には90.12%に急増し、更に、2008年から2012年までは常に100%を維持するようになった。事件数については、最少で2005年の33件、最多で2009年の156件となっており、約5倍近くの差が生じている。総じて言えば、参審率も事件数も2005年から増加し続けていると言うことができる。

表4.13 HZ区基層人民法院の行政法廷の実施状況[30]

④ 当該業務法廷の裁判官によると、2012年度の人民参審員制度で裁判した事件数は不明であるが、すべての事件の裁判に人民参審員が参加したことは確かである。

刑事法廷の場合は、参審率が2005年の29.93%から2009年の60.33%まで順調に増加したが、2010年に一度59.85%と減少した。しかし、2011年には再び上昇し、それまでで最高の61.13%となった。人民参審員が参加した事件の数は、2005年度が最も少なく320件であり、2011年度が最多の917件であった。その変化は参審率と同様であり、年々増加していく傾向にある。

表4.14 HZ区基層人民法院の刑事法廷の実施状況[31]

広州市中級人民法院の実施状況に関しては、上述のような詳細なデータを入手することはできなかったが、裁判業務に関するデータの統計を担う副院長により次の説明を受けた。

刑事事件の場合、人民参審員制度の適用は2012年1月から始まり、2012年6月にかけて人民参審員が参加した合議体で裁判を行った事件は9件のみであり、通常手続で裁判した第一審刑事事件は約300件であった。そのため、約半年間の参審率は極めて少ない3%となった。その理由としては、広州市中級人民法院の刑事法廷では裁判が行われる第一審刑事事件がそもそも少ないこと、刑事事件の裁判を担う合議体を組む裁判官が足りているために、人民参審員を参加させる必要がないこと、という2点が挙げられた。

同様に、2005年から2012年8月まで、広州市中級人民法院の行政法廷において人民参審員制度による裁判が行われた事件は僅かに3件である。歴年の通常手続で裁判した事件数の統計は不明であるが、その参審率も刑事事件の場合と同様に非常に低いとのことであった。

これに対して、2009年までは広州市中級人民法院が受理する第一審民事事件が少なかったために、人民参審員制度は適用されなかったが、2010年より民事事件の裁判に対して制度の適用が盛んになり、2010年後半から2012年8月まで、民事事件の参審率は90%以上を維持してきた。これは2010年から参審率が民事法廷の業務を評価する指標の一つとされ始めたためであるとの説明を受けた。

(5)上海市ZB区における参審率[32] 

ZB区人民法院での現地調査により得られた参考資料は、各法廷業務の概括的な参審率のみであり、具体的なデータおよび人民参審員が参加した事件の数は入手できなかった。

刑事法廷において、2005年5月以後、各年度の参審率は100%近くとなっており、特に、2011年の具体的な参審率は96.07%であったとの説明を受けた。

民事法廷においても行政法廷においても2009年から調査の時まで参審率は常に100%であり、2009年以前の比率は統計を取っておらず、不明とのことであった。

(6)調査結果のまとめ

前述の現地調査で入手した参考資料を整理したものを踏まえて、次の結論を導くことができると考える。第1に、法律上から見れば高級人民法院と最高人民法院でも制度を実施することが可能であるにもかかわらず、実務において制度を適用した人民法院は基層人民法院と中級人民法院に限られている。また第2に、参審率·人民参審員が参加した事件数は共に、基層人民法院が中級人民法院をかなり上回っている。以上の2点より、人民参審員制度は、殆ど基層人民法院において実施されていることが言えよう。

全体的に見ると、参審率は上昇傾向にあるが、地域により異なっている。具体的には、同年度の上海市と広州市における基層人民法院の参審率は、湖北省、内モンゴル自治区、重慶市における基層人民法院の参審率より著しく高くなっている。なぜかと言うと、人民参審員を選任したり、研修したりするため、発生する経費、および、事件の裁判に参加した人民参審員に支払う手当は、当該地域の人民政府の財政から負担されるようなっており、経済発達地域である上海市と広州市の人民政府は、それほど経済発達をしていない地域の湖北省、内モンゴル自治区、重慶市の人民政府より財政能力が強いからであろう。

時間軸から見れば、「決定」が実施され始めた2005年より、制度の適用は、盛んになりつつあり、参審率は近年、100%に近づいていく傾向にあると見える。