人民参審員の参加する合議体の構成を定めている条文は決定第3条しかない。なお、人民参審員と合議体のその他の成員との意見が分かれた時、人民参審員の意見を評議の記録に記入し、また、人民参審員が当該事件の裁判委員会による検討決定が必要だと思った場合、人民法院の院長に事件の裁判委員会への付議を要求するよう届け出、かつ、その理由を説明し、それを評議の記録に残さなければならない。......
2023-08-14
人民参審員の選任資格について、「決定」第4条と「実施意見」第2条は、それを定めている。まず、「決定」第4条第1項に基づき、人民参審員になる者は、憲法を擁護すること(政治条件)、満23歳以上であること(年齢条件)、公明正大であること(道徳条件)、健康であること(身体条件)という四つの一般条件を満たさなければならないのである。それに、人民参審員には学歴制限も設けられている。つまり、人民参審員は原則として短大卒以上の学歴を有していなければならず(「決定」第4条第2項)、例外として当該条件の達成が確かに困難である地域、あるいは高齢かつ尊敬を集めている者についてはそれを適宜緩和すること(「実施意見」第2条)という学歴条件が規定されている。
「決定」第6条は、人民参審員の欠格事由を定めている。それに基づき、刑罰を受けた者および公職を罷免された者は、人民参審員になることができない。また、「決定」と「選任回答」は、就職禁止事由を定めている。それは、人民参審員の職務を遂行する能力はあるが、一定の職業に就いていることなどを理由として人民参審員になれる者から除外する場合である。「決定」第5条と「選任回答」第2条によれば、人民代表大会常務委員会の委員、人民法院、人民検察院、公安機関、国家安全機関、人民政府司法行政機関の在職職員と現役軍人、弁護士は、除外される。しかも、「選任回答」第6条は、裁判官と検察官が退職した後の二年以内は人民参審員になることができないこと、二年を経ても、退職した裁判官と検察官は、元勤務の基層人民法院で人民参審員として務めてはいけないことを規定している。
人民参審員を選任する前、裁判に要する人民参審員の人数を算定しなければならない。「決定」第7条は、人民参審員の定数が基層人民法院により算定され、同級人大常務委員会により確定されると規定している。算定する際に何を基準に如何に行うのかについて、「決定」をもって答えられないのに対して、最高人民法院が制定した「辦法」および「意見」にはそれに関わる条文を規定している。「辦法」第5条と「意見」第4条によれば、基層人民法院は、管轄する当該地方の人口数、面積、民族構成、事件の数と特徴、上級人民法院の需要という五つの要素を考慮した上で、所属する基層人民法院の現職裁判官の数の半数からその総数までの数で、人民参審員の定数を算定し、それを上級の中級人民法院へ意見の具申をし、調整の指示を受けた後、定数を同級人大常務委員会へ報告し、決定を要請する。
人民参審員の定数が決められた後、基層人民法院が主導し、同級人民政府司法行政機関が携わって、同級人大常務委員会が候補者を任命する選任手続が始まる。「基層人民法院は、人民参審員の選任資格に満足する公民が所属する職場または戸籍所在地の基層自治組織による推薦あるいは本人の自薦を受け付け、同級人民政府司法行政機関と共に他薦者と自薦者の申請書を審査した上で、基層人民法院院長が、同級人大常務委員会に対して人民参審員候補者名簿を提出し、任命することを要請する。」というように「決定」第8条は、選任手続を大まかに定めているのに対して、それを詳しく規定しているのは、最高人民法院が制定した「実施意見」および「辦法」である。それらに基づき、人民参審員の選任手続は、図表3.4で示すとおり、五つの段階で行われると考えられる。
表3.4 選任手続
まずは、人民参審員の推薦または自薦である。基層人民法院は、人民参審員を選任する一ヶ月前から、人民参審員の定数と選任資格、選任手続などを公募する(「実施意見」第5条、「辦法」第9条)。そして、選任資格に合致する公民は、所属している職場あるいは戸籍所在地の基層自治組織による推薦、または、自薦で基層人民法院へ推薦書と自薦書を提出しなければならない(「実施意見」第6条、「辦法」第10条)。また、推薦書と自薦書は、最高人民法院により決められた様式[25]で作らなければならない(「実施意見」第11条)。
次は、推薦者による推薦書と自薦者からの自薦書を審査することである。基層人民法院は、推薦書と自薦書を受け取った後、記入した個人情報の真実性を確かめてから、被推薦者と自薦者に選任資格、欠格事由、就職禁止事由があるかどうかを判断した上で、一応の人民参審員候補者の名簿を作り出し、それを同級人民政府司法行政機関、すなわち、司法局に送り、意見を求め、それに、候補者に関わる状況を調査する必要があると考えれば、司法局と共にその候補者の所属している職場あるいは戸籍所在地の基層自治組織に行き、その状況に関する調査を行える(「実施意見」第7条および「辦法」第12条、第13条)。
第三は、人民参審員候補者を確定することである。基層人民法院は、予め決めた人民参審員の定数と審査の結果をもとに人民参審員の人選を決め、その際に、社会の各業界から異なる性別、異なる民族、年齢別の者を吸収することに注意すべきであり、決定後、その選ばれた人民参審員の名簿を上級の中級人民法院へ報告し、その者の選任資格が再び中級人民法院から確かめられるようにさせる(「実施意見」第8条、「辦法」第14条、第15条、第16条)。
第四は、人民参審員を任命することである。人民参審員候補者名簿を確かめた後、基層人民法院は、それを推薦書と自薦者などの資料と共に同級の人民代表大会常務委員会へ提出し、任命することを要請し、それに対して、その人民代表大会常務委員会は、その資料を形式的に審査をした上で、名簿に従い人民参審員を任命し、[人民陪審員工作証][26]、つまり、任命証書を授与する(「実施意見」第8条、「辦法」第17条、第19条)。
最後は、任命された人民参審員の名簿を社会に公布することである。基層人民法院は、任命された人民参審員の名簿を同級人民政府司法行政機関に同報しながら、中級人民法院を経て、高級人民法院にそれを順次報告し、同時に社会に公告し、直ちに任命決定を書面で人民参審員本人と所属している職場、戸籍所在地の基層組織に通知する(「実施意見」第9条、「辦法」第18条)。
「決定」および「実施意見」、「辦法」、「意見」には人民参審員の解任に関する条文が設けられている。まず、人民参審員の辞職について、人民参審員が職業の変動や健康上のトラブルがあるなどの原因で人民参審員の職務を履行することができなくなる場合、基層人民法院に辞職の申請を提出することができる(「決定」第17条、「意見」第8条)。次に、人民参審員の罷免について、選任された者は、ア)三年以内に適当な理由がなく裁判に参加することを三回拒んだことがある場合、イ)選任された後、欠格事由と就職禁止事由が生じた場合、ウ)裁判に関わる法律と関連規定に違反したり、情実にとらわれて不正行為をしたりして、それにより誤判または他の深刻な結果をもたらした場合、罷免されなければならない(「決定」第17条、「意見」第9条、「実施意見」第19条)。
解任の手続に関しては、本人による辞職の場合と罷免のア)、イ)の場合であれば、基層人民法院の人民参審員の人事管理部門[27]は、その状況を確かめた上で、罷免のウ)の場合であれば、基層人民法院の監察部門は、調べて確認した上で、基層人民法院の院長を通じて、同級人民代表大会常務委員会に罷免するように要請する(「辦法」第34条)。もしも罷免しようとする人民参審員に犯罪の容疑があれば、その刑事責任を追及し、もしも罷免しようとする人民参審員に犯罪の容疑がなければ、基層人民法院が書面でその者の所属している職場にその者を処分よう提案する(「決定」第17条、「辦法」第35条)。
人民参審員を解任した後、基層人民法院は、書面で解任の決定を解任した者およびその者の職場、戸籍所在地の基層組織に通知し、解任の名簿を司法局へ送り、中級人民法院を経て、高級人民法院まで順次報告すると同時に、社会に対してそれを公布しなければならない(「辦法」第37条、「実施意見」第19条)。
有关人民陪审员制度改革的理念和实践的文章
人民参審員の参加する合議体の構成を定めている条文は決定第3条しかない。なお、人民参審員と合議体のその他の成員との意見が分かれた時、人民参審員の意見を評議の記録に記入し、また、人民参審員が当該事件の裁判委員会による検討決定が必要だと思った場合、人民法院の院長に事件の裁判委員会への付議を要求するよう届け出、かつ、その理由を説明し、それを評議の記録に残さなければならない。......
2023-08-14
このような裁判体は人民参審員制度の一種の特殊な形態であると思われる。以上の論述で建国前の人民参審員制度の概観を明らかにさせた。この時期における人民参審員制度は、中国共産党の大路線を理念として、多数の国民を革命に参加させようと動員する政治宣伝の機能を発揮していたと指摘されている[18]。......
2023-08-14
2010年5 月、呉中区基層人民法院が人民参審員制度を実施する先進的な人民法院として選出され、当該人民法院で制度を用する方式が呉中モデルと称され、当時の最高人民法院院長である王勝俊によって高く評価された。呉中規程は全部で45条あり、その大部分の条文が現行制度を規定している決定と最高人民法院が制定した内部文書の内容を踏襲するものであるが、一部の条文は呉中モデル特有のものとなっている。......
2023-08-14
それとともに、裁判制度に関する法整備も行われていた。つまり、裁判体は、原則的には、裁判官1人と人民参審員2人で構成される合議体であり、裁判官が裁判長になる。以上は、1931年から1937年までの約7年にわたって中華ソビエト共和国における人民参審員制度の基本構造である。......
2023-08-14
決定第1条は人民参審員は裁判長を担当できないこと以外、裁判官と同等の権限を有する。人民参審員は開廷の三日前までに訴訟資料を全部読まなければならない。第20条は人民陪審員は、合議体の許可を得た上で、裁判官と共同で事案の事実について調査を行うことができる。人民参審員の権限は、訴訟資料の事前閲覧、並びに、当事者への尋問権限、訴訟の調停、事実の調査、という四つの事項に限定されている。......
2023-08-14
つまり、人民参審員へ人民参審員が裁判官の法律か紀律に違反した行動を発見したとき、裁判長あるいは院長、裁判委員会へ意見と建議を提出する権力、および当地の民が抱えた裁判官または裁判業務への意見を収集し人民法院へ提出する権力である。......
2023-08-14
日本では改革後の人民参審員制度に関する研究が盛んではない中で、2012年の葉陵陵「市民の裁判参加に関する比較的考察(3·完):アメリカ、日本及び中国を中心に」[20]および2013年の徐行中国における市民の司法参加システム——人民参審員制度[21]は人民参審員制度の理念·内容·現実を総合的に論じている希少な先行研究である。......
2023-08-14
このことから、人民参審員制度を利用する裁判の大部分が基層人民法院で行われていること、人民法院のレベルが高いほど、制度利用の可能性が低くなること、と言う二つの結論を導くことができる。よって、第一の問題点として挙げられるのは、基層人民法院では社会的影響が大きいとは必ずしも言えない事件の裁判にも人民参審員制度を利用していることである。......
2023-08-14
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