首页 理论教育人民陪审员制度改革的理念和实践:先行研究讨论

人民陪审员制度改革的理念和实践:先行研究讨论

【摘要】:筆者は以上のような論説は現行の人民参審員制度改革の理念を解明するのに有効な手がかりを提供したと考えている。そして、上述の価値から今回の制度改革を支えてきた理念を抽出し、それを日韓における国民司法参与制度を導入した理念を比較することによって、中国側の制度の理念上の特徴を引き出すのは可能であろう。

2005年から始める人民参審員制度改革の背後にある理念に関する著作は存在しないが、韓玉勝·史丹如の「司法における民主主義と民主主義の司法——刑事訴訟における人民陪審員制度の現状と課題」は、制度改革が追求している価値を論文の一部分として多かれ少なかれ触れて論じた[18]

その中身を見てみると、韓·史は、人民参審員制度の核心的な価値を民主主義と公正さを実現すること、および制約と監督を実現すること、実体的正義と手続的正義を実現すること、訴訟の効率を実現すること、法律普及の多様な経路を実現することという五つの価値に帰納している。それらの価値を内容的にみれば、次の通りである。

まずは、民主主義と公正さを実現することについて、「人民参審員制度は、条件を満たしている普通の公民に裁判に関与する権限を与え、彼らに司法を理解させ、参加させる。刑事事件の審理手続を万人の目の前で行うことによって、審理過程を人々に公開し、刑事裁判の透明度をいっそう高める。……人民陪審員が裁判活動に参加し、普通の公民を代表して司法権力を行使することは、人民が国家管理に参加する権利の実現を示している。……また、複雑かつ難しい事件によって誤解と対立が生じるたびに、人民陪審員は根強い民衆的基盤を通して人々を説得する方法で、事件を即時に解決できている」(121頁)ために、「人民陪審員制度は、まさに司法制度が民主的かつ公正であるという目標に向って前進するための内在的要求である」(121頁)とする。つまり、司法の民主主義と公正さは、審理手続を公開することおよび普通の公民から人民参審員を選出すること、事件に関わる人々を説得することを含んだ人民参審員制度により、遂行することができると、韓·史は考えている。

次に、制約と監督を実現するとの価値の中身について、「人民陪審員は、各級人民代表大会の常務委員会によって任命されており、人民法院には任免を申請する権限しかない。これは司法の民主性の表れであるとともに、それによって裁判官の権力に対する制約作用が生じることは間違いない。また、中国の『人民法院組織法』と『刑事訴訟法』は、人民陪審員は人民法院の事務を履行するに当たって、裁判官と同等の権限を有することを定め、強調している。……したがって、合議体において、裁判官は独断的な権限を有するのではなく、人民陪審員と同等の地位にあり、判決内容の決定権は人民陪審員からの制約を受ける」(122頁)、そして、「人民陪審員制度は、裁判官の権力を制約するほかにも、裁判官が廉潔であるか否かを監督する動きがある。……人民陪審員の存在は裁判官にとって、一面の『鏡』であり、常にその監督的存在を思い出させているので、裁判官が自己を正さなければならならず、人民陪審員と共同して司法の腐敗を防止することによって、法廷内外の廉潔性を保証している」(123頁)とする。つまり、人民参審員に裁判官と同様な権力と地位を与えることによって、裁判官の恣意判断と腐敗を防げることを実現するというわけである。

また、実体的正義と手続き的正義を実現する理念をめぐって、韓·史は、実体的正義と手続的正義はコインの表裏であり、前者が後者の前提と基礎である一方、後者が前者を客観的に反映しているという認識を強調したうえで(123頁)、人民参審員制度がどのようにその両者を実現するかについては「中国は成文法国家であり、完備された刑法典を有している。立法機関も常に時に応じて刑法典を改善していることは、まず裁判が依拠すべき法律の基礎を固めていることになる。……法律を通して、人民陪審員制度を明確にし、裁判権限を与え、そのうえ裁判官と共同で合議体を構成し、公正な実体法に基づき、正当な司法手続きに従って、事件を公正に審理し、罪刑法定主義に従って、事実認定および判決をすることを求めている。故に、中国の人民陪審員制度は、裁判において手続的正義を決定し、そして裁判過程を通して実体(法律)の正義を反映している」(124頁)と応える。つまり、人民参審員制度は、国民の司法参与の手続を明確にすることで手続的正義を、そして、人民参審員に裁判官と同じ事実認定と法律適用の権限を与えることで成文法が備えた実体的正義を実現する。

そして、訴訟の効率を実現する価値について、「当面、中国の裁判所における裁判官の平均人数は少ないのに対し、審理する事件の数は膨大であり、その比率は非常に不均衡である。人民陪審員が裁判に参加することによって、司法資源の不足と裁判官の人手不足という問題を解決し、裁判官1人当たりが審理する事件数の多さを緩和している」(124頁)と示す。その後、韓·史は、法律普及の多様な経路を実現するという価値に関して、人民参審員は「司法活動に参加することによって、法律知識と社会治安状況に関する情報を身に付け、自覚的に法律を宣伝するボランティアの機能を果たし」(125頁)、そして、「社会の様々な職業分野から選出され、庶民としての特性を有するため……法律知識のない一般人でも分かりやすい言葉で法律に関する知識と社会情報を伝えることができる」(125頁)ために、全国民の法律意識と法的教養を高めると主張している。つまり、裁判官の人手不足という問題を解消すること、および全社会への法教育を行うことは、今回の改革を経た人民参審員制度に賦与された機能ともいえる。

筆者は以上のような論説は現行の人民参審員制度改革の理念を解明するのに有効な手がかりを提供したと考えている。そして、上述の価値から今回の制度改革を支えてきた理念を抽出し、それを日韓における国民司法参与制度を導入した理念を比較することによって、中国側の制度の理念上の特徴を引き出すのは可能であろう。しかしながら、韓·史の論述には以下のような問題があると思われる。①韓·史は、人民参審員制度が追求している価値を五つ帰納したが、それらの価値がどこから導き出されてきたのかについてほとんど言及していないのである。つまり、その価値は結論として提出されたが、それが依拠している根拠は論文に見つけられない。そのように論説を展開するのに、その価値に基づき制度改革の理念を抽象するのはいささか理不尽なやり方だと思われる。また、最高人民法院が主導している司法改革の一環としての人民参審員制度改革の理念を分析するのに、学者のその改革に対する見解や意見は欠かせないが、最も重要なのは司法当局の政策や立法者の意図だと考えられる。そのために、最高人民法院、あるいは全人大常務委員会が公布した制度改革に関連する文書や草案など、および制度改革に手を出した上層部に立つ高官の発言や談話などを論文に示し、論じなければ、その論説は学者の独り言にすぎないと感じる。

②韓·史が提出した制度改革が追求する価値は、本当に制度運用で成し遂げたのか、もしそうであるとすれば、いかなる形式で反映されているかが解明されていない。韓·史の論文のタイトルには「現状」という言葉が付いているが、制度の運用実態について、一言も触れていないどころか、現行人民参審員制度の内容が大雑把に紹介されているにとどまっている。

不足点①に関しては、筆者は制度改革をめぐる法律草案や政策文書などを含む権力機関が公布した文書を分析したうえで、人民参審員制度の起源に遡って、制度の元来の価値と改革後の新しい価値を分けて、制度改革の理念を引き出すのに、韓·史の制度の価値に関する議論が学界の一つの意見として扱われる意義は失われたわけではないと考えているため、本稿の課題の解明において、それをある程度反映したいと考える。また、不足点②について、本書の第四章で展開する現地調査の結果を考察することによって、それを補うようにしたい。